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型以降、デジタル技術を採用したB型やC型では品質の向上や端末の小型化が図られ、90年からは航空機での通信も可能となった。また、蓄積転送方式のメッセージ通信が可能なC型は世界的遭難安全通信システム(GMDSS)に採用されている。96年4月には回線容量やアンテナの指向性が格段に向上した第3世代の衛星の打ち上げに成功した。

この衛星により陸上移動衛星通信サービスが提供されるが、地球局はノート型パソコン程度の大きさとなり、さらに、個人情報が記憶されたICチップを搭載したSIM(Subscriber Identity Module)カードサービスの導入により、レンタル端末からの通信や相手のSIMカード番号を呼ぶことで端末を呼び出すことも可能となる。

また、95年8月にはNTTのN−STARが打ち上げられ、NTTドコモが移動体通信サービスを開始している。2001年にはユーザ数34,000局を想定しており、インマルサットを除けば静止衛星による本格的な移動衛星通信サービスである。このほかJCSATもトラックの運行管理用データ伝送サービスを行っている。郵政省も2001年に、携帯端末による映像伝送サービスなどが可能な次世代通信・放送開発衛星を静止軌道上に打ち上げる予定で、1996年10月中に「次世代の衛星移動体通信システムに関する調査研究会」を開催する。

静止衛星より低い高度の衛星に低軌道衛星(LEO)と中軌道衛星(MEO)がある。LEOやMEOでは端末が小型化できるかわりに衛星のカバーする範囲が狭まるため、多くの衛星が必要になる。中軌道衛星では、ICO社が高度10,355km上の12個の衛星で携帯電話サービスを、TRW社のオデッセイが高度10,354kmの12個の衛星により全世界をカバーする携帯電話サービスを行う。低軌道衛星では1998年に米国イリジウム社が高度780kmに66個の衛星を打ち上げ、地上のどこからでも通話できる携帯電話のネットワークを構築する。また、テレデシック社は高度700kmに840個の衛星を上げ、2001年からのデータ伝送サービスを予定している。グローバルスター社も高度1,400kmの48個の衛星により、98年から測位・ぺージングサービスを始める。

これらの他、地上20,000km上の25個の衛星を用いた、米国国防総省のGPS*5は1993年12月から民生用に開放され、わが国でも実用化に向けての技術的課題や普及のための標準化が検討されている。100メートル程度あった測位誤差は将来的には数センチメートル程度に縮小することが可能であり、カーナビゲーションシステムの他にタクシーや


*5 全世界的衛星測位システム

 

 

 

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